天敵でシロアリ駆除ができない理由とは?
生き物には天敵が存在し、捕食をします。住宅の木材を加害するシロアリを捕食する天敵はいるのでしょうか?また、天敵がいるのであれば天敵を利用して駆除はできないのでしょうか?早速、結論ですがシロアリ駆除は天敵を利用しての駆除はできません。その理由についても解説していきます。
天敵とは?
そもそも天敵とは何なのでしょうか?
天敵(てんてき、英語:natural enemy)とは、特定生物の死亡要因となる生物種のことである。
天敵死亡要因となる生物種なことをいいます。ですので、肉食動物が草食動物をたべるような捕食ということだけではなく、寄生虫なども含まれます。
シロアリ天敵 いろいろ
では、シロアリにとっての天敵とはどんな生き物なのでしょうか?シロアリの種類や生息地域、外部環境、さらにはシロアリの形態によっても天敵は変わってきます。
シロアリの天敵【アリクイ】
その名の通りアリクイはアリやシロアリなどを捕食する生き物です。日本には生息していません。
飼育されたアリクイはマヨネーズが大好きという可愛らしい一面もあります。
シロアリの天敵【アリ】
シロアリを直接捕食する昆虫の中で代表的なものが『アリ』です。名前も似ているのでアリもシロアリの仲間なのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、アリはハチに近縁でシロアリはゴキブリに近縁という全く違う進化を遂げている昆虫です。
アリとシロアリの違いについてはこちらの記事をご覧ください。
シロアリは木材などを食べますが、アリは雑食性や肉食性などの種がいます。
アリの中には腐った木材などに巣を作る種がいます。
そういったアリは木造住宅で腐った木材があると誘引されて巣を作ることがあります。
そのような場所ではシロアリとアリの生息場所が同じになりアリがシロアリを捕食することがあります。
とはいえ、アリが家の中のシロアリをすべて駆逐することはほぼないと言っても良いです。
シロアリは土の中に移動したり木材中に移動したり、アリが侵入できないところに逃げてしまいます。
シロアリ(ハネアリ)の天敵【ツバメ・カエル】
シロアリは、繁殖の時期になると集団の一部がハネアリとなり外へ飛び出します。
このハネアリはツバメをはじめ鳥類やカエルなどにとってかっこうの餌となります。
ハネアリとなって飛び立っても、女王と王のペアになるのはほんのわずかでほとんどが天敵によって捕食されてしまいます。
害虫駆除で天敵は利用することはないのか?
農業などの分野では外敵を駆除するために天敵を利用することがあります。
農薬など化学薬品を使用しないのがメリットですが、周囲の環境による効果の不安定さや天敵が生態系を破壊してしまうという問題もあります。
天敵を利用したシロアリ駆除も過去にあった?
現在は販売されていませんが、過去には天敵を利用した生物的防除方法の製品もありました。
メタリジウム菌という土壌糸状菌の一種を利用した駆除方法です。
製剤としては液体で使用します。
菌がシロアリ体表に付着するとシロアリの体液を栄養とし、内部の組織を破壊します。
メリットとしては化学薬品ではないということです。
デメリットは使用難易度が高く、予防ができないことです。
菌を使用しますので、木材や土壌に散布するのではなくシロアリに直接かかるようにしなければ効果がありません。
しかも、多数のシロアリに直接掛かるようにしなければならない為、使用する側の技術力に大きく左右されます。
また、化学薬品と違い長期間持つものではないので駆除はできますが、予防効果はないため予防をするには結局化学薬品を散布することになってしまいます。
これらのことから過去に製品としてはあったものの現在は見ることはありません。
シロアリを天敵で駆除ができない理由
シロアリを天敵で駆除が出来ない理由はいくつかありますが、動物や昆虫を天敵とする場合土中などに逃げてしまい建物内全てのシロアリを駆逐することができないためです。
また、土壌糸状菌などの菌類も天敵といえますが、自然界のシロアリはこういった菌が繁殖しないようお互いの身体を清潔に保つようにしています。
土壌糸状菌などの生物を利用した駆除方法もありましたが、使用が難しくなおかつ予防もできないため現在はみることがありません。
以上がシロアリを天敵で駆除が出来ない理由でした。