シロアリレポート
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2022.04.26

ハネアリ群飛レポート 5年分のデータから読み取れること

シロアリレポート

弊社は毎年ヤマトシロアリがのハネアリが群飛する4~5月にかけて「ハネアリ群飛調査」と称して、群飛のタイミングや量、また被害建物の構造や築年数などを調査しています。今回は、その「ハネアリ群飛調査」2016年~2020年までの5年間分の累計データから読み取れることをご紹介します。

 2021年のレポートはこちらをご覧ください。

 

1.ハネアリ群飛調査の目的

私たちは、120年以上培ってきたシロアリ防除(とりわけ予防方法)のノウハウとナレッジを活かし、住宅シロアリ被害ゼロの実現を目指しています。その実現のために、シロアリ被害に遭われたお住まいの方々への調査ヒアリングデータを蓄積・検証することで、どのようにすればシロアリ被害を未然に防げるのかを導き出す一助になると考えています。これまでに培ってきた経験や知見も大切ですが、データをもとにした「事実」としっかりと向き合い改善に繋げていくこともとても重要だと考えます。

 

2.2016年~2020年のハネアリ群飛調査

2-1.ハネアリ群飛調査 調査条件

 ・期間:2016年~2020年の毎年4月1日~5月31日にかけて

 ・地域:千葉県、埼玉県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、岐阜県

 ・対象:ヤマトシロアリの群飛

 ・方法:点検時の弊社社員によるお住まいの方へのヒアリングと現地調査

 ・気象:名古屋市を参照

 

2-2.ハネアリ目撃経験の5年推移

まずは、お住まいの方のハネアリ目撃経験の内訳の5年推移を見ていきます。

ハネアリ目撃経験の内訳

2016年には全体のおよそ50%だった「初めて見た」という方が年々増加し、2020年にはおよそ70%にまで到達している事がわかります。

 これはひとえに、弊社が長年お取引しているビルダー様やお客様に対して「ハネアリを見たらすぐにご連絡を」とはたらきかけ続けてきたために、早期発見・早期対策に繋がって来たことの表れではないかと思います。

 

2-3.「被害有無」と「築年数」との関係性

 次に、シロアリ被害の有無と築年数との関係性を見ていきましょう。

シロアリ被害の有無と築年数との関係性

データを見ると、築年数5年以下の住宅においても、少ないながらもシロアリ被害が発生していることがわかります。そして5年経過後はその「被害あり」の割合が確実に増加しています。

 5年以下でも被害事例が発生している要因として、新築時のシロアリ防除対策は建築基準法などで絶対の実施が規定されている訳ではなく、シロアリ防除専用薬剤による対策が実施されていない建物があることが一因と思われます。また、5年経過後に「被害あり」が増加していく要因としては、シロアリ防除薬剤の効果は5年間であるため、新築時にシロアリ対策が実施されていたとしても5年経過後にシロアリ防除を実施していなければその薬剤による予防効果は期待できず、シロアリ被害に遭ってしまってと考えられます。

 少なくとも、新しい建物にはシロアリ被害は発生しないという考えは持たない方が良いようです。

 

2-4.「被害有無」と「基礎仕様」「床下換気仕様」との関係性

 またデータからもう一つ読み取れることは、築年数11~15年が一つの分岐点となっているということです。これ以前では「被害なし」の割合が50%程に留まるのに対し、これを過ぎると一気に「被害あり」の比率が80~90%に跳ね上がります。

 この要因の一つとして、建物構造の変化が挙げられるかと思います。とりわけ、住宅の「基礎仕様」や「床下換気仕様」の影響があるのではないかと考えました。そこで「被害有無」と「基礎仕様」および「床下換気仕様」との関係性も見てみました。次のデータをご覧ください。

グラフ

データを見ると、まず基礎仕様においては「被害あり」住宅のおよそ半数が「土(防湿層なし)」となっています。また、床下換気仕様においては、「被害あり」住宅の6割以上が「風窓」の仕様となっています。これらから、「床下防湿層のない住宅」や床下換気仕様が「風窓」の住宅はシロアリ被害に遭いやすい傾向があると言えそうです。しかし、そういった傾向があるからと言って、それが決定要因とはならないことには注意が必要です。その証拠に「被害なし」においても、基礎仕様で「土(防湿層なし)」が3割以上,床下換気仕様で「風窓」が5割以上となっています。逆に、一般にシロアリ被害に遭いにくいと言われる「ベースコンクリート」「防湿コンクリート」であっても「被害あり」住宅のうちの3割以上を占めていますし、「基礎パッキン」仕様の住宅においても9%は被害に遭っています。

 つまり、確かに割合に差はあるものの「床下に防湿層がないから,風窓だからシロアリ被害に遭う」とは言い切れないですし、逆に「防湿コンクリートだから,基礎パッキン工法だから被害に遭わない」とも言い切れないという事です。これら構造的要因が、シロアリ被害に遭う遭わないの絶対条件になり得ないということが言えます。

 

3.まとめ

今回は2016年~2020年の5年間のヤマトシロアリのハネアリ群飛調査のまとめをお伝えしました。

今回のデータから読み取れることまとめると、

・ハネアリを「初めて見た」という方が年々増加しており早期発見が進んでいる。

・新しい建物だからシロアリ被害が発生しない訳ではない。

・基礎仕様や床下換気仕様が被害の有無を決定付ける絶対要因とはならない。

 

 忘れてはならないことは、シロアリも生き物だということです。それも、何億年も前からこの地球上に生息するかなりたくましい生き物だと思っておいた方がよいでしょう。生き延びるためにエサを求めてコンクリートであろうとそのわずかな隙間を縫って食害してきますし、どれだけ乾燥した場所であっても蟻道という身を守るトンネルをつくって餌場へと突き進んできます。構造や仕様をもって絶対にシロアリ被害に遭う,もしくは遭わないと断定することはできません。建築会社様におかれましては、そのご自身の経験則でお住まいの方へシロアリ被害の遭う遭わないについてお伝えすることがあるかと思いますが、今回の記事にした調査データも示すように、構造や仕様を紐づけて断定的に伝えたりもしくはそのように受け取られるような表現は避けることが賢明だと思います。

 今年(2022年)もヤマトシロアリの群飛の季節がやってきています。現在、ハネアリ群飛調査実施中です。また調査結果が出ましたらこちらの「EVITAGEN(エビタージェン)」にて報告させていただこうと思いますので、ご期待ください。