今回はハネアリの雌雄についてです。
1.生存をかけたパートナー探し
一般的に知られている、シロアリが繁殖期になると翅を生やした数千匹のシロアリの群れが巣から飛び立ち、地上に降りると翅を落とし、パートナーを探します。
カップルになったシロアリは、求愛行動のようなタンデム行動を行いながら移動します。
そして、新しいコロニーを形成するために巣作りをする場所を探し始めます。
もちろんそれには雄と雌が存在しており、創世王、創世女王となって群を形成します。
イメージ通り、異性ペアとなることが想像できますが、そもそもこの繁殖行動には危険が伴い、パートナー探しに時間をかけすぎると、他の生き物に捕食される恐れもあり、かつ長くは生きられません。
つまり、ペアになることは生き残りをかけた生命活動でもあるのです。
2.シロアリの柔軟な繁殖戦略:多様性に秘められた生存の知恵
既に色々な研究もされており、発表もされていますが、雄と雄、雌と雌というペアになることもあるようです。
生き急いで、同性か異性かも確認もせずに、間違って相手を見つけてペアになろうとする偶然起こる生き物とは違い、シロアリは意図的な行動変化で、雌と雌の場合は単為生殖が可能で繁殖することができ、雄と雄の場合は、他の巣に侵入して雌と交尾することも可能です。
また、繁殖期になると翅ありが発生することは一度ではありません。
次の機会でペアになることを狙うこともできます。
雄と雄のペアには違和感を覚えつつも、これほどまでに考え抜かれた生き抜くための活動には驚きます。
3.シロアリのタンデム行動:柔軟性と進化が語る生存の知恵
タンデム行動では、オスとメスがそれぞれ異なる行動を取ります。
メスは常に前を歩き、オスはその後ろをついていきます。カップルがはぐれてしまうと、メスが立ち止まってオスがパートナーを探します。
このタンデム行動を、雌と雌、雄と雄でも行われていることも研究され、発表されています。
敢えてはぐれさせることも行い、多少の時間の差はあるものの、異性のカップルと同じように立ち止まって探す姿なども確認され、同性同士でも役割を柔軟に変えることができるようです。
この柔軟性も、祖先からの能力を引き継いでいる、と考えられています。
一般的に知られているヤマトシロアリは、両性群れでは必ず雌が前を歩き、雄が後ろではあるものの、遠い種類のものは雄が前を歩く場合もあり、上記のように祖先からの継承もあるのではということでした。
まだまだ知られていないこと、過去現在調べられていることは多くあります。
知らなくてもシロアリ防除、駆除ができてしまいますが、相手を知ることはとても大事ですね。
参考文献:祖先の性役割の可塑性が同性間の性行動の進化を促進する
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2212401119
論文タイトル: Ancestral sex-role plasticity facilitates the evolution of same-sex sexual behavior
発表先: PNAS