住宅を劣化させる大きな要因の1つはシロアリによる木材食害、そしてもう一つがタイトル
にもある「小さな悪魔」木材腐朽菌の木材劣化があります。今回は木材を劣化させる腐朽についてお話をしたいと思います。
1.木材腐朽菌とは?
木材腐朽菌とは、住宅の多くに使用されている木材を腐らせてしまう菌のことです。
菌というとキノコを思い浮かべる方も多いと思いますが、キノコも分類上は同じ仲間となります。木材腐朽菌は木の成分:セルロース・ヘミセルロース・リグニンを分解する菌になります。建物内で菌が繁殖していくと木材は腐り、建物の強度は低下していきます。
2.腐朽菌の種類は?
木材腐朽菌の種類は
①褐色腐朽菌 ②白色腐朽菌 ③軟腐朽菌の3つに分けられます。
2-1.褐色腐朽菌
褐色腐朽菌は木材に含まれるセルロース・ヘミセルロースを選択的に分解します。リグニンも
多少分解するものも有りますが、完全に分解することは有りません。
腐朽が進んだ木材は褐色になり、乾燥すると収縮し縦横の亀裂が入ります。
自然界では針葉樹を侵すものが多いと言われています。
木造住宅では土台や柱に針葉樹を用いる事が多く、褐色腐朽菌による浸食が進むと住宅全体の強度低下につながります。
2-2.白色腐朽菌
白色腐朽菌は木材に含まれるセルロース・ヘミセルロース・リグニンの全てを分解します。
腐朽した木材は色あせが発生し、白っぽくなります。
褐色腐朽菌のように収縮や変形は生じませんが、繊維状にほぐれ指などでも簡単にむしり取れるほどになります。
自然界では広葉樹に多く発生し種類も多いです。シイタケやエノキタケ・ヒラタケなどの食用キノコも白色腐朽菌になります。
2-3.軟腐朽菌
軟腐朽菌は褐色腐朽菌と同じくセルロースとヘミセルロースを多く分解します。腐朽木材は黒ずんだ褐色になり、表面は指でこすり落とせるほど柔らかくなります。
しかし内部は健全で腐朽部分との境界がはっきりしています。乾燥するとひび割れの発生はしますが、褐色腐朽菌ほど激しい劣化は伴いません。住宅では水掛かりで使用している、すのこやウッドデッキ等で菌を確認することが多いです。
3.まとめ
このように、環境により発生する腐朽菌は様々ですが腐朽菌が発生する元となる「水分・栄養・温度」のいずれかを上手くコントロールすることで腐朽を防ぐ事が出来ます。
住宅床下の場合、風を動かし水分・温度をコントロールし腐朽菌の発生を出来る限り抑えていく事が有効な対策と言えます。
シロアリも腐朽菌も小さい生物ですが集団になり束になって襲ってくると、大きな住宅でも甚大な被害を受ける小さな悪魔と変化します。大切な住宅を守るためにもしっかりと住宅の状況を確認するための定期的な点検をお勧めします。