今回は、環境問題とシロアリ防除の新技術について書いていきます。
1.シロアリ防除業界における変化
近年、SDGSなどをはじめとする地球環境問題に対する意識の高まりから省エネ化が進みシロアリ防除業界にも変化が起こっています。
社会的な要請により住宅工法が大きく変化し、外断熱工法の住宅やスラブ基礎工法の住宅などが建てられるようになってきました。
こういった物件のシロアリ侵入問題が顕在化し、製剤の性能から必要とされる5年毎の再処理が実質的に不可能な住宅が増加してきています。
弊社では外周施工という工事方法を選択し予防駆除双方への防除として長年のノウハウを活かして構造にあわせた薬剤処理技術を提供して外断熱工法などに対応をしています。
2.ケミカルフリー工法
白蟻防除に関しては様々な工事方法が存在します。
一例として侵入対策としてレスケミカル工法としてベイト剤を使用したベイト工法などが挙げられますが、
今回は現状研究段階ではありますが、新時代の防除方法についてご紹介します。
薬剤を使用して防除するケミカル工法、ベイト剤を使用して少量薬剤で防除するレスケミカル工法、さらに新しい、その名もケミカルフリー工法です。
考え方はシンプルであり、物理的に侵入できないようにしよう、というものが主流です。
ステンレス金網や岩石破砕物などの物理バリアーや昆虫寄生菌による生物的防除が研究されています。
これらはすでにアメリカやオーストラリアといった国では実用化されており、
日本でも研究が進められていますが、既に判明していることをご紹介します。
防シロアリ性能としての具体的な目標は「対象とするシロアリが通り抜けられず、かつ大顎で持ち運ぶことの出来ない粒子サイズの決定」です。
理論的な解析によりイエシロアリを基準としたデータでは直径1.9nm〜2.9nmの粒子が物理的バリアーとしては効果的であり、そのサイズによる破砕物による侵入阻止やそのサイズ以下の金網の網目による侵入阻止が効果を発揮することとなります。
その他にもより球形に近い物質の方が高い性能を発揮することや、粒子表面の平滑性も住宅な要因であるということが明らかになっています。
3.実用化までの道のり
ではなぜ導入がなかなかされないのか、についてはいくつかの要因が関係してきます。
大きな部分として「住宅の寿命と同等の持続性を有すること」、「現場での施工が容易であり、不良施工が発生し難いこと」の2点が挙げられますが、これらに加えてコストの問題やそもそも日本の住宅工法・建築工程に適合しシステム化されることが必要となるため技術的な問題は現状多くあります。
ただ、冒頭に述べた通り環境問題などの意識の高まりは今後より一層加速していくと想定されます。
技術においても日進月歩で進んでいるので近い将来どうなっているのか予測しながらアンテナを常にはっておくことが大切かと考えます。