当社ではシロアリの生態の基礎研究の一環としてシロアリの飼育を行っており、シロアリの飼育を通じて、生態の研究や社内教育などを行なっています。
※当社がシロアリの生態の基礎研究を実施する目的についてはこちらでご紹介しています。
(for LONG365+1 サイト「シロアリの基礎研究を通じて可能性を広げていく」記事参照 ▼)
本記事では飼育をしているヤマトシロアリの現状をお伝えします。
ここ最近では、シロアリが卵を産み幼虫が生息していることがわかりました。それがどういうことなのか、詳しく解説していきます。
1.ヤマトシロアリの分化
全国的に分布をするヤマトシロアリは女王や王がなんらかの原因で死滅してしまっても、少ない職蟻から女王や王に分化し新たなコロニーを形成することで知られています。
ヤマトシロアリは3齢幼虫から職蟻が分化する能力を持っています。
そのため、駆除をする際でも例え女王や王を駆除しても職蟻が残っていると生殖階級に分化するため新たなコロニーとして再生することもあります。
2.飼育の開始
弊社では教育や研究の為、ヤマトシロアリの飼育を行っています。
ヤマトシロアリは先述のとおり、職蟻から生殖階級に分化する能力をもっているため女王や王がいない状態から飼育をしても新たなコロニーを創設することができます。
今回は女王や王がいない状態でヤマトシロアリを100頭ほど捕獲をし飼育を開始しました。
ヤマトシロアリは職蟻や兵蟻など生殖階級ではないシロアリは2~3年ほど生存していますので、分化がうまくいかなくてもきちんとした環境があればその期間は飼育することが出来ます。
ですが、今回は新たなコロニーの創設のため飼育をしながら観察をしています。
3.ヤマトシロアリの卵と幼虫
飼育を進めていると飼育ケースの中に卵が確認できました。
飼育開始時には職蟻と兵蟻のみでしたので、ケース内のシロアリが生殖階級へと分化したことになります。
ヤマトシロアリは不完全変態のためサナギになることはなく、卵から孵化すると職蟻と同じような外見で生まれてきます。
成熟した職蟻より体の小さい幼虫も確認することができました。
飼育を始めてから約2か月でこの状態になりましたので、わずか数か月で生殖階級に分化し繁殖することができることが確認できました。
4.まとめ
ヤマトシロアリが職蟻から分化しコロニーの拡大や創設をすることが実際に確認できました。
また、ヤマトシロアリだけでなくイエシロアリの飼育もしております。
今後はヤマトシロアリの有翅虫(ハネアリ)からの飼育も試してみたいと思っています。