今回は、ピレスロイド系薬剤についてお話したいと思います。
1.ピレスロイド系とは?
ピレスロイド系とは、除虫菊という植物の成分であるピレトリンの殺虫成分に似せた化学合成された殺虫剤などのことをいいます。
除虫菊は古くから殺虫成分として利用され、現在でも殺虫剤の成分として害虫駆除や農薬、シロアリ防除剤として利用されています。
ピレスロイド系の殺虫剤はこういった特徴があります。
●即効性が高い
●忌避性が強い
●様々な虫に広く効果がある
●魚毒性が強い
●温血動物にやさしい
●光などで速やかに分解され環境に優しい
2.市販されているピレスロイド系薬剤
ピレスロイド系殺虫剤は前述のように幅広い効果でさらに素早く効き、なおかつ速やかに分解されるため市販品でも広く普及しています。
例えば、蚊取り線香やエアゾール殺虫剤、吊るすタイプの虫除け、園芸用では作物の防除などが販売されています。
3.ピレスロイド系防蟻剤
シロアリ防除薬剤の中にもピレスロイド系防蟻剤があります。現在は主流とは言えませんが、過去は普及していたこともありました。
では現在はなぜ普及していないのでしょうか?
ピレスロイド系の殺虫剤の特徴は、即効性の高さや忌避性の高さなどがあります。単体の虫を殺虫するのであれば効果的ですが、シロアリには効果的ではありません。
シロアリは社会性昆虫として集団で生活をしている昆虫です。集団全体に効果を広げたほうが効果的ですが、ピレスロイド系殺虫剤は忌避性が強いため部分的にシロアリが残ってしまうと薬剤処理をした場所をさけ、残った場所で生存してしまうことがあります。
壁の中や木材中などシロアリ防除をする際どうしても完全に薬剤がかからない場所があります。
そういった場所に残ってしまうと、生き残りが繁殖してしまう事が考えられます。
現在、防蟻剤としてピレスロイド剤はどういったものがあるのでしょうか?
ピレスロイド系の防蟻剤は、除虫菊の天然抽出成分を製剤化したものや粒剤などといった粒状の形をした防蟻剤、またシートに殺虫成分が練り込まれたものなど様々な形になってつかわれています。
その中でも天然成分である除虫菊成分を製剤化した製品は、公益社団法人日本しろあり認定薬剤の中でも唯一の天然抽出成分の製剤です。殺虫成分としては分解されやすいですが、長期間持続するように工夫され開発された製品です。
製造時に環境負荷が少ない優れた製品です。
4.まとめ
ピレスロイド系殺虫剤は、古くから利用され安全性が高い上即効性や忌避性が高く速やかに分解される殺虫剤としては優れており、市販品としても広く普及しています。
防蟻剤としては、現在では主流ではないものの公益社団法人日本しろあり対策協会の認定剤の中でも唯一の天然抽出成分として利用されています。