蟻塚
SPECIAL
2021.12.25

世界に住むシロアリ達

蟻塚

なんと2900種!

全世界におけるシロアリの種類は2900種が記録されており、数億年前から地球に生存していると言われています。そんな我々人間よりはるか先輩であるシロアリについてお話してみたいと思います。

世界に生息するシロアリ

 

(シロアリの種類)

学問上シロアリはそれぞれの特徴に応じて亜科に分類されます。ミゾガシラシロアリ科・レイビシロアリ科・オオシロアリ科・シュウカクシロアリ科・ノコギリシロアリ科・ゲンシロアリ科・シロアリ科となっています。代表するシロアリは以下の通りです。

ミゾガシラシロアリ科:ヤマトシロアアリ・イエシロアリ

レイビシロアリ科:アメリカカンザイシロアリ・ダイコクシロアリ・カタンシロアリ

オオシロアリ科:オオシロアリ・ネバダオオシロアリ

シュウカクシロアリ科:Hodotermitidae

ゲンシロアリ科:ムカシシロアリ

シロアリ科:タイワンシロアリ・タカサゴシロアリ・ニトベシロアリ

ミゾガシラシロアリ科

ミゾガシラシロアリ科は名前の通り頭に溝が有る事からミゾガシラと言われています。日本では建物への加害が多いシロアリ種となります。ヤマトシロアリは日本中何処でも生息しているシロアリです。住宅への被害を与えるシロアリとして有名なシロアリです。

ヤマトシロアリ

レイビシロアリ科

レイビシロアリ科は乾いた材木を加害します。最近では家具などに侵入したアメリカカンザイシロアリが海外から輸入され日本での被害も増加しています。巣を拡大する為に群飛した羽蟻が住宅や室内の建具・家具へ入り込み集団を形成していきます。ヤマトシロアリやイエシロアリと違い殆ど水を必要とする事がなく蟻道(シロアリが通る道)の形成を行わないため、床下のシロアリ調査を行っても被害にあっている事に気付きにくいのが特徴です。住まわれている方が被害に気付くのは、シロアリの排出する糞が被害ヶ所下に落ちる為、掃除をしても次の日には小さな木くずが落ちているという事で気付くことが多いです。その他カタンシロアリは日本での生息は殆ど見られなく、建物に入る事も有りません。生立木や落ち葉などに生息します。

アメリカカンザイシロアリ

 

オオシロアリ科

オオシロアリ科のシロアリは大型のシロアリで湿った朽木等に生息し日本では奄美大島などで確認されています。大きな兵蟻では20㎜になるものも確認されています。

 

シュウカクシロアリ科

シュウカクシロアリ科は名前の通り草類などを収穫し巣や蟻塚に備蓄するというスタイルを取っておりアフリカ等に生息しています。

 

ゲンシロアリ科

ゲンシロアリ科はムカシシロアリのみで樹木や建物を加害しオーストラリアでの生息が確認されています。

 

シロアリ科

蟻塚
シロアリ科のシロアリは高等シロアリに分類されキノコを栽培したり蟻塚を作ります。建物や農作物への被害が確認されており生態は多種多様です。テレビなどで放送される蟻塚(写真)はセイドウシロアリが作った蟻塚で、大きなものでは6メートルの巨大な蟻塚を作ります。セイドウシロアリはヨーロッパの大聖堂のような塚を造る事からセイドウシロアリと言われています。オーストラリアでは気温差が激しかったり雨季があったりしますが全ての環境に耐えれる塚の構造になっているようです。まるで日本住宅の高気密高断熱のようです。
大きなセイドウシロアリの巣の巣には300万匹程のシロアリが生息しているともいわれ、その中の働きアリが巣を作っていきます。巣の中には50年以上も使用し続けられる巣があるとも言われています。このセイドウシロアリは枯れ草などを主食とし住宅等への加害は無いシロアリ種となっています。次に珍しいシロアリはタイワンシロアリです。このタイワンシロアリは農業を行うシロアリと言われ、日本の沖縄本島や最南端の八重山諸島に生息しておりシロアリのなかで唯一キノコを栽培するシロアリとして知られています。このタイワンシロアリは建物を加害するのではなくサトウキビなどの農作物を加害する害虫になります。タイワンシロアリの巣には菌園がありその菌園に落ち葉や木くずを集め菌床を作ります。その中でキノコは成長し菌糸を伸ばし粒を収穫し食べて栄養に変えて生きています。

(写真提供元:バイエルクロップサイエンス)

このようにシロアリと言っても様々な環境の中で生息しており建物などに被害を与えるシロアリばかりでない事が解ります。そもそもシロアリが生息している環境に人間が構造物を作り、加害されたからという事で駆除するという事はシロアリにとって迷惑この上ない事だと思います。大切なことは地球と言う限られた環境の中で人間も含めた生物が如何に共存し生きていくかがとても大切なことだと思います。