「木材が腐る、腐朽菌が発生する。」これらの事象は湿度が高い事が原因で起こると耳にすることがあると思います。今回は木材の腐朽とそのメカニズムについてお話をさせていただきます。
1.木材含有率とは
木材中に含まれる水分量を測る値を、木材含水率と呼びます。
木材含水率には、大きく分けて2つあり、細胞内壁に含まれる結合水、そして細胞壁の間に含まれる自由水というものになります。
例えば、湿度の高い室内に木材を放置した場合、時間の経過と共に木材が水分を含み始め、木材含水率が高くなってきますが、先に細胞内壁にある結合水から水分を含み、そこいっぱいになると細胞壁間の自由水が増えていきます。
そして、この結合水から自由水に移り変わる境を、繊維飽和点と言います。
木材の種類にもよりますが、一般的には含水率30%が、その繊維飽和点と言われています。
まずは、木材が腐る、腐朽するという事は、この繊維飽和点を超えているのか、すなわち自由水が発生しているのかで変わってきます。
2.木材強度と湿度
木材含水率が繊維飽和点を超えていなければ腐朽菌は発生しないですが、木材含水率が低くなるにつれ、木材の強度が高くなっていくという実験結果もあります。
そのような事からも、床下など湿度の高いところでは、木材を腐朽させない事も大事ですが、木材強度を高めるといった点でも、床下の湿度をコントロールし、環境を維持する事も大事になってきます。
床下などの湿度が高いと、一般的には木材含水率が高くなってきますが、木材の種類によっても異なります。
桐など軽い木材は湿度が高くなると木材含水率が高くなる傾向にあり、床下の構造に使われる、ヒノキ、スギなどは、前者と比べると含水率が高くなりにくいものになっています。
3.床下の湿度をコントロールするために
また、床下の湿度対策として弊社でも調湿材といった湿度をコントロールする商材を取り扱っていますが、調湿材にも乾燥させるのが得意なもの、湿気を下げるだけでなく乾燥時には吐き出し飽和状態にさせないものなども性能も多岐に渡っており、そのような調湿材の実験も自社で行っています。
私たちは社内で「R&Dプロジェクト」を立ち上げ、最適な商品・商材の選定を行っています。
湿気と木材含水率の関係、腐朽のメカニズム、それを理解した上で、安心した環境を維持できる湿気対策などを、今後も考えていきたいと思います。
商材の効果・性能を検証する R&Dプロジェクト
『R&Dプロジェクト』は最も適した商品・商材は何か、新商品・新技術が次々と開発されていくなか比較検証・研究し、常にベストな商品を選定してアップデートするためのプロしぇくとです。薬剤の選定や、ご提案する断熱材・床下換気扇・湿気対策商材の効果を調べるたり、床下ドローンの共同開発や、シロアリを育成して生態を掴む研究なども行っています。
※R&Dとは「Research & Development」の略。日本語でいうと「研究開発」。
自社の事業領域に関連した研究開発を行い、新たな知見や技術を得ることで新しいサービスを創出する。
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