人はバランスよく食事をして栄養を摂取しています。
シロアリが木材を食害しエネルギー源にしているのは有名ですが、今回はシロアリが何故木材を食料、栄養にできるのかについて解説してみたいと思います。
木材の成分は、セルロース、ヘミセルロース、リグニン成分から構成されています。シロアリセルロース、ヘミセルロースを栄養にしています。
1.セルロース、ヘミセルロースとは
セルロースは食物繊維の一種で「多糖類」という有機物に区分されています。
人間はセルロースを分解して栄養にする事はできません。シロアリがセルロースを分解できる理由は、セルラーゼと呼ばれる酵素の働きによるものです。
シロアリは腸内の共生原虫や細菌が生成するセルラーゼと呼ばれる酵素を持っており、エネルギーとして利用できます。糖類であるオリゴ糖へ分解する事ができます。
ヘミセルロースには、様々な種類があり、総称となりヘテロ糖に分類されています。ヘミセルロースの一部として、キシラン、マンナン、Bグルカンなどがあげられます。
セルロースは基本的に1種類、ヘミセルロースは様々な糖から構成されている多糖類です。同じヘミセルロースは存在していません。
2.シロアリの好物
【アカマツ、クロマツ、エゾマツ、モミ、ベイツガ、ベイマツ、、レッドウッド(オウシュウアカマツ)、スギ】
シロアリが好む木材は水分を多く含むやわらかい木材です。マツやツガの木材はやわらかく、シロアリが侵食しやすい特性を持っています。これらの木材を使用する場合は、湿気対策と共に防除加工をする事が推奨されています。
以前のコラムにも記載されていますが、木材の中心部(心材)よりも、木材の外側(辺材)のやわらかい木材を好みます。また、心材に含まれるテルペン類と呼ばれる揮発性の精油成分もシロアリが避ける要因の1つと言えます。
他には、ヒノキチオール、β-ドラブリンα-カジノール、ピネン、δ-カジネンといった成分も木材に含まれており、テルペン類の多くが抗菌作用や防虫効果を持っていると言われています。しかし条件によってこれらの成分が含まれている木材でも食材される危険性もあるので油断はできません。
3.苦手な匂い
【ハッカ】
ハッカはシロアリに対しても忌避効果があります。「メントール」という清涼感のある香りの成分は、シロアリをはじめさまざまな昆虫が苦手としています。ハッカは繁殖力が強いため、初心者でも比較的育てやすい植物です。
本名ではハッカと呼びますが英語名はミント。シソ科ハッカ属の植物の総称がミントであり、ハッカはその中の1つです。市販で販売されているスプレータイプの物であればメントールの含有量が多い物の方がシロアリ対策に向いています。
【シナモン】
シナモンの香りもシロアリが苦手とします。シナモンには「オイゲノール」や「シナムアルデヒド」といった防虫成分が含まれているのが特徴です。
有効成分としてシナモンを配合したシロアリ用の忌避・殺虫スプレーでも活用されています。シナモンは観葉植物として自宅で生育可能です。
クスノキ科の植物で、クスノキにもまた防虫剤としてもよく使われる「樟脳(しょうのう)」という成分が含まれています。
4.まとめ
今回の記事でシロアリの生態や、木材の特徴など興味深い点がいくつもありました。忌避性の強いものに関しては、シロアリにも十分効果を発揮し、身近な対策案の1つとして覚えておくといいかもしれませんが、忌避性の効果が100%有効という訳ではないので注意は必要ですね。