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2024.12.13

シロアリの継承システム

今回はシロアリの継承システムについて着目していきます。

1.生命の多様性を支える進化と変異

生き物には、雄と雌が存在し、有性生殖によって子孫を残し、時に突然変異、また進化を遂げてきた歴史もあります。
変異の機会をより多く得ることにしたこの歴史は、上手くいったと言っても過言ではないのではないでしょうか。
人間、または昆虫も同様で、進化、生き抜く力になったこともあると思われます。
突然変異は悪い影響を与えることもあるかもしれませんが、個体差を起こすことで、疫病、種全体が滅ぶことも防いできたと思いますし、現在流行っている、伝染病に対しても免疫力が強くなるかもしれません。
今後も人間は無限に進化でき、可能性を生み出し、大きな意味を持っていると信じたいですね。

相反し、単位生殖によって継承されていく生き物もいます。
多くは単細胞生物ですが、起源とも言えます。
有性生殖が無くても、単体で繁殖できることに神秘ささえ感じますが、細胞分裂、と捉えると、何故か納得してしまいます。

 

2.シロアリに見る生殖の使い分け

さらには、有性生殖と単為生殖を切り替える仕組みを持っている昆虫もいるそうで、既に何年も前に、シロアリもその内の1つと解明されています。
いわゆる使い分けです。
単為生殖によって遺伝子を残していくことに比べ、有性生殖は効率が悪いわけで、そこに謎はありますが、どのように使い分けているのでしょうか?

雄と雌のハネアリでペアになり、一夫一妻で創設王、創設女王として子を産んでいきます。

産まれる子は働きアリ(職蟻)、兵隊アリ(兵蟻)、そして新たなハネアリとなります。

北海道から九州まで日本に広く分布しているヤマトシロアリなどでは、女王が働きアリやハネアリなどを有性生殖で産んでいく一方で、自分の後継者となる二次女王は単為生殖で産む、という事例もあるようです。


女王の体内について触れると、受精嚢というものを持っており、こちらに王の精子を保有しながら、単為生殖の子を産むという方法を取っています。

それには、精子を通さない卵を産んでいる、というのが1つの答え、とのことでした。

昆虫の卵の表面には、卵門と呼ばれる精子を通すための孔が開いており、たくさんの卵を調べた中でも数にばらつきがあり、一部の卵には卵門が無いことも見受けられ、卵門の無い卵は単為生殖、卵門がある卵は有性生殖によって生まれていることも明らかにされました。

 

さらに、卵門の数は女王が若いのか、年齢を重ねた女王なのかで変わってくるとのことです。

女王が若いうちは、卵門の数が多い卵を産み、老化とともに死ぬ前に卵門の無い卵を産むようになるとのことでした。

 

このように自分の遺伝子をオリジナルとして残しておく、小さな生き物に、素晴らしい知恵と生命力を感じます。