タイトルに驚いた方も多いと思いますが、今回紹介するシロアリはイエシロアリです。実際に発生した事例を紹介しながらイエシロについてお話します。
1.生息
イエシロアリは日本以外に世界に広く分布しており、日本では千葉県以西の海岸線沿いに沿った比較的暖かい地域に生息しています。四国や九州などではヤマトシロアリよりもイエシロアリの被害が多く確認されています。イエシロアリもヤマトシロアリと同じく本来は自然の中で生息し朽ちた木材などを餌とし木材の分解を促進させるとても重要な役割を担っている益虫です。
2.生態・特徴
基本的な生態としてはヤマトシロアリに近いですが、イエシロアリの特徴としては大きな塊のコロニー(巣)を作りコロニーを中心として活動を行います。コロニーの大きさは環境や年数によりさまざまで、大きな物になると100万頭の集団になった事例も確認されています。活動範囲としてはヤマトシロアリと似ており、地面から加害部への移動を行い食害に及びます。ヤマトシロアリと違い水を運ぶ能力に優れている為、被害部が建物全体に及ぶことも珍しくありません。
また、住宅以外の被害では街路樹や防風林の松の木がイエシロアリの被害に遭い枯れてしまう事も少なくありません。有名なところでは「三保の松原」でもイエシロアリ被害が発生しています。
イエシロアリの羽アリは6月〜7月頃の蒸し暑い日の夕刻から飛び立つことが多く、発生地域では街灯に多くの羽アリが群がっている事もあります。飛び立った羽アリは対になって新しいコロニーを作ります。
有翅虫(ハネアリ) 体長:7㎜~9㎜ 体色:黄褐色 翅色:淡黄色(半透明)
女王アリ 体長:30㎜~50㎜ 腹部が肥大化している
兵隊アリ 体長:3㎜~7mm 頭部は淡褐色の卵型。長さは体長の約3分の1
働きアリ 体長:3㎜~5mm 体色は乳白色で頭部は淡黄色
イエシロアリはヤマトシロアリと違い固定巣を持ちます。そしてその固定巣から食害部分へ移動を行いながら食害を進めますが、必ずしもコロニーが加害している建物内にあるとは限りません。過去の事例では被害住宅から100mほど離れたところにコロニーが見つかったこともあります。イエシロアリの活動範囲はヤマトシロアリに比べ広範囲での活動となるので注意が必要です。
3.築3年でマイホームが廃墟に!
これまでの経験の中で一番ひどい被害がタイトルにもある新築3年で、通常に住めない環境になってしまった住宅です。その住宅は静岡県内にある住宅ですが、私が調査で訪問した際には1階部分の床が全て剥がされており、床が有るのは階段前部分とトイレ・洗面のみでした。ご主人に話を聞いたところイエシロアリの被害に遭い建物全体に被害が広がったとの事。そして次の被害に遭わないよう床は貼らずにシロアリが侵入したら直ぐに対応できるようにしているとの事でした。その後も床を貼る事はせずに2階で生活を送るとの事でした。夢にまで見たマイホームを手にしましたが、実際は建築途中のような環境での生活です。本当に心が痛みました。
イエシロアリ被害事例
現在はシロアリ防除薬剤も進化を遂げヤマトシロアリ・イエシロアリ共に効果のある薬剤が増えています。また、被害箇所を非破壊で確認できる商品(タームレーダー)なども出てきております。今まで培ってきたノウハウと、新たに開発された機材や薬剤を駆使し一人でも多くのお客様の財産と思い出を守っていくよう、日々新たな取り組みを進めていこうと思います。